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発信のネタ出し

介護過程のアセスメントが書けない人へ — 「情報」と「解釈」を分けると、書く欄が決まる

結論、介護過程のアセスメントで手が止まるのは、見たこと・聞いたこと(情報)と、そこから考えたこと(解釈)が同じ欄で混ざるからです。情報は本人の言葉と場面のまま書き、解釈は根拠を添えて6つの問いの順につなげる方法を、養成校の教材例をもとに整理しました。

執筆: けありんぐ編集部(介護福祉けありんぐ 編集部)

介護実習生が休憩室の机で2枚の用紙を並べ、付箋を移しながらアセスメントを書き進めているイラスト

介護過程のアセスメントが書けない人へ — 「情報」と「解釈」を分けると、書く欄が決まる

要点

  • アセスメントで手が止まる大きな理由は、見たこと・聞いたこと(情報)と、そこから考えたこと(解釈)が、同じ欄の中で混ざることです。 情報の欄には本人の言葉と場面をそのまま書き、考えたことは分析の欄に移します。
  • 本人の言葉は大切な情報ですが、そのまま生活課題になるとは限りません。ほかの情報と照らし合わせてから、課題として書くかを決めます。
  • 分析の欄は、①現在の状況 ②原因・理由 ③続いた場合に予想されること ④望ましい状態 ⑤必要な支援 ⑥留意することの6つの問いに順番に答えると、文章としてつながります。
  • 「〜と考えられる」と書いたら、その根拠になった情報を必ず添えます。健康状態に関わる解釈は、自分で結論を出さずに指導者や看護職に確認します。様式と書き方の決まりは、学校の指示を優先してください。

介護実習で受け持ちの利用者が決まると、介護過程の展開として、情報収集とアセスメントの用紙を書くことになります。情報収集の欄はなんとか埋まった。けれど、その下の「分析」「解釈」「課題」の欄で、何を書けばいいのか分からなくなる。あるいは、書いて提出したら「これは情報ではなく、あなたの考えですね」と赤字で返ってきた。そんな経験をした人は多いと思います。

けありんぐではこれまで、実習の目標の立て方、日誌の「考察」の書き方、実習最後のまとめ(総括)を取り上げてきました。今回は、実習中に並行して進めることの多い、介護過程のアセスメントを扱います。扱うのは、情報収集の欄と、分析・解釈の欄の書き分けです。ICFの分類や介護計画の立て方、評価の書き方には踏み込みません。

アセスメントは、なぜ書けなくなるのか?

情報と解釈が同じ欄で混ざり、どの欄に何を書くかの区別がつかなくなるからです。解釈を書いても、その根拠が書かれていないと、読み手には思いつきに見えます。

書けなくなるのは、あなたの力が足りないからとは限りません。公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会の「介護過程展開の実践力向上のための調査研究事業 報告書」(令和2年3月)では、会員校361校を対象にアンケートを行い、128校から回答を得ています。養成校が介護過程を教えるうえでの課題として、「情報の分析・解釈・統合の概念を教授する難しさ」や、学生の文章力・語彙力の差が大きいことが挙げられました。教える側も、この部分に難しさを感じているということです。

裏を返すと、書けなくなる場所はだいたい決まっています。情報収集の欄と分析の欄の境目です。ここで書くものを分けておくと、それぞれの欄で何を書けばいいかがはっきりします。

「情報」と「解釈」は、どう分けて書けばいいのか?

情報の欄には、本人の言葉、見た場面、記録や職員から聞いたことを、出どころが分かる形でそのまま書きます。「〜と思われる」「〜な様子」と書きたくなった部分は、解釈なので分析の欄に移します。

欄書くもの書き方の例
情報(本人から)本人の言葉、表情やしぐさ昼食前、食堂に誘うと「みんなの前で食べるのは恥ずかしい」と話した
情報(観察から)いつ・どこで・何をしていたか実習5日間のうち4日、昼食を居室で食べた。食事中、口元に手を添えることが多かった
情報(記録・職員から)出どころを添えて書く入所前は家族と一緒に食卓を囲んでいた(担当職員より)
解釈(分析の欄へ)なぜそうなっているかの考え人前で食べる姿を見られることを気にしているのではないか

表の例は、説明のために想定した利用者の例で、実在の方の記録ではありません。自分の受け持ちの方に当てはめるときは、学校の様式の項目名に合わせて読み替えてください。

迷いやすいのは、「食事を拒否している」「消極的な様子」のような書き方です。「拒否」「消極的」は、見た場面を書き手がまとめた言葉です。情報の欄には、誘ったときに本人が何と言い、どう動いたかを書きます。まとめた言葉を使うかどうかは、分析の欄で考えます。現場の記録でよく使われるまとめた言葉の言い換えは、介護記録の「不穏」の言い換えでも整理しています。事実と推測を分ける考え方は、ヒヤリハット報告書で「事実」と「考え」を分けて書くコツとも共通です。

自分の用紙を見直すときは、情報の欄にある「〜と思われる」「〜な様子」「〜のようだ」に線を引いてみてください。線を引いた部分が、分析の欄に移す候補です。

本人の言葉は、そのまま生活課題になるのか?

なるとは限りません。本人の言葉は大切な情報ですが、ほかの情報と照らし合わせて、本人にとっての課題かどうかを考えてから書きます。

同じ報告書には、養成校が作ったアセスメントの教材が実践事例として載っています。静岡県立大学短期大学部の「課題分析ワークシート」では、考案の段階で「利用者の望み」という項目を最初に置いていました。ところが、学生が「利用者が〇〇したいと言っていたから、それが生活課題だと思う」と安易に捉える場面が少なくなかったため、あえてこの項目を設けない形に変えたと説明されています。本人の発した言葉は受けとめたうえで、それが生活課題なのかを客観的に捉えるためです。

聖和学園短期大学・仙台白百合女子大学のアセスメントシートでは、「本人の訴えや言動(事実)」と「本人の気持ち(推測)」を別の欄に分けています。事実の欄には本人の言葉や表情、場面の状況を具体的にありのまま書き、気持ちの欄には言動の背景にある気持ちを推測して書く、という使い分けです。

さきほどの例でいえば、「みんなの前で食べるのは恥ずかしい」は事実です。「食堂で食べたくない」が本人の望みだと決めてしまう前に、居室では最後まで食べていること、入所前は家族と食卓を囲んでいたことと並べてみます。そうすると、「人と食べること自体が嫌」というより、「人前で食べる姿を見られるのが気になる」のかもしれない、という別の読み方が出てきます。どちらの読み方が近いかは、次の観察で確かめることになります。

分析の欄は、どんな順番で文章にすればいいのか?

①現在の状況 ②原因・理由 ③続いた場合に予想されること ④望ましい状態 ⑤必要な支援 ⑥留意すること、の6つの問いに順番に答えて、文章をつなげます。

この6つは、前の章で紹介した静岡県立大学短期大学部の課題分析ワークシートの項目です。報告書では、各項目を「現在○○の状態である」「それは△△が原因だと考えられる」「この状態が続くと◇◇になる恐れがある」「□□になるためには」「××をする必要がある」「その際は、▽▽に留意することが求められる」という文の型で書き、①から⑥へつなげる方法が紹介されています。

介護過程のアセスメントを情報と解釈に分けて書く手順の図解。上段は情報の欄に書くもの(本人の言葉、観察した場面、記録・職員から聞いたこと)、下段は分析の欄で答える6つの問い(現在の状況、原因・理由、続いた場合に予想されること、望ましい状態、必要な支援、留意すること)と、それぞれの文の書き出しを示している

さきほどの例に当てはめると、次のようになります。

問い文の書き出し記入例
①現在の状況現在〜の状態である現在、昼食を居室で食べることが多く、食堂での食事に参加していない
②原因・理由それは〜が原因だと考えられる「みんなの前で食べるのは恥ずかしい」という発言と、食事中に口元に手を添える様子から、食べる姿を人に見られることを気にしているためと考えられる
③続いた場合に予想されることこの状態が続くと〜になる恐れがある食事の時間に他の入居者と顔を合わせる機会が減り、居室で過ごす時間がさらに長くなる恐れがある
④望ましい状態〜になるためには本人が人目を気にせず、人と一緒に食事の時間を過ごせるようになるためには
⑤必要な支援〜をする必要がある本人の希望を確かめたうえで、食堂の中で人の視線が集まりにくい席を一緒に選ぶ必要がある
⑥留意することその際は〜に留意するその際は、食堂へ行くことを本人に無理に勧めず、居室で食べる選択も尊重することに留意する

表の記入例も、説明用に作った例です。実在の利用者の記録ではありません。実際に書くときは、受け持ちの方について自分が集めた情報で組み立て直してください。

報告書では、このワークシートは文章化のための「一つの型」にすぎず、根拠を示しながら筋道を立てて説明できるなら型にこだわる必要はない、とも書かれています。学校で別のシートが指定されている場合は、そのシートの項目に沿って書いてください。6つの問いは、自分の文章がどこで途切れているかを見つけるための点検に使えます。

「〜と考えられる」に説得力を持たせるには、何を書けばいいのか?

解釈の文には、根拠にした情報を具体的に添えます。根拠が1つしか見つからないときは、決めつけずに「次に確かめること」として書きます。

②の「原因・理由」は、いちばん赤字が入りやすい欄です。「恥ずかしさがあると考えられる」だけでは、なぜそう考えたのかが読み手に伝わりません。上の記入例のように、「〜という発言と、〜という様子から」と、情報の欄のどれを根拠にしたかを文の中に入れます。

根拠にできる情報が1つしかないときは、次のように書くと、解釈と観察の計画がつながります。

  • 「〜という発言から、食べる姿を見られることを気にしている可能性がある。食堂の席の位置を変えたときの反応を観察して確かめたい」

健康状態や病気に関わる解釈には、別の注意がいります。「食べる量が減っているのは〇〇の病気のせい」のような判断は、学生が自分で結論を出すものではありません。気になった情報は、実習指導者や看護職に伝えて確認します。断定を避けた書き方は、介護の発信で「治る」と言い切らない言い換え方も参考になります。

アセスメントを書くときに、よくあるつまずきは?

情報の欄に解釈が入る、記録の書き写しで情報の欄が埋まる、②より先に⑤の支援を書いてしまう、の3つです。

つまずき1: 情報の欄に解釈が入る

「穏やかに過ごされている」「意欲が低下している」は、どちらも書き手の判断です。情報の欄には、何時ごろ、どこで、何をして、何と言っていたかを書きます。

つまずき2: 記録の書き写しで情報の欄が埋まる

要介護度や既往歴など、施設の記録から転記する項目もあります。ただ、記録の写しだけでは、自分が受け持ちの方と関わって得た情報が欄に残りません。実習中に自分で見たこと、聞いたことを、記録とは別に書き足します。記録から写した情報には、どこから得たかを添えておくと、自分で得た情報と区別できます。

つまずき3: ②より先に⑤の支援を書いてしまう

「声かけが必要」「見守りが必要」と、支援から書き始めてしまうことがあります。支援は、②の原因と④の望ましい状態が決まってから考えるものです。⑤が先に浮かんだときは、その支援がどの原因に対するものかを②に戻って確かめます。

アセスメントの書き方は、発信とどうつながるのか?

見たことと考えたことを分けて書く力は、実習のあとも、現場の記録や発信でそのまま使えます。ただし、アセスメントの中身そのものは、公開してよいものではありません。

厚生労働省が示した「介護福祉士養成課程における教育内容の見直し」(社会保障審議会福祉部会 福祉人材確保専門委員会 資料2、平成30年2月15日)では、見直しの背景として「介護過程におけるアセスメント能力や実践力を向上させる」ことが挙げられています。同じ資料の「求められる介護福祉士像」には、「専門職として自律的に介護過程の展開ができる」「本人や家族、チームに対するコミュニケーションや、的確な記録・記述ができる」が並んでいます。情報と解釈を分けて書く練習は、この両方に関わります。

一方で、アセスメントは受け持ちの方の生活や体の状態を詳しく書いた書類です。実習で知った情報の扱いは、学校と実習先の決まりに従ってください。発信に使えるのは、「情報の欄に解釈を書いて赤字をもらった」「本人の言葉をそのまま課題にしかけた」といった、自分の書き方のつまずきと気づきのほうです。利用者や実習先が特定されない書き方は、個人が特定されない書き方の5つの自衛ルールを確認してください。学生だからこそ書ける視点については、経験が浅いからこそ書けることで整理しています。

まとめ:この記事で持ち帰れること

アセスメントの用紙に戻ったときに使えるのは、次の2つです。

  • 書く欄の分け方——情報の欄には本人の言葉・観察した場面・記録や職員からの情報を出どころとともに書き、「〜と思われる」は分析の欄に移すこと。本人の言葉は、ほかの情報と照らしてから課題にすること
  • 分析の文章のつなげ方——現在の状況・原因・続いた場合・望ましい状態・必要な支援・留意することの6つの問いに順に答え、解釈には根拠の情報を添えること

次にアセスメントの用紙を開いたら、まず情報の欄だけを読み返し、書き手の判断が入った言葉に印をつけてください。線を引いた部分を分析の欄に移すと、情報の欄に残るものと、分析の欄で書くことが分かれます。

よくある質問

A. 情報の欄には、本人の言葉、観察した場面(いつ・どこで・何をしていたか)、記録や職員から得たことを出どころとともにそのまま書きます。「〜と思われる」「〜な様子」のように書き手の判断が入る部分は解釈なので、分析の欄に移して書きます。

A. そのまま課題にするとは限りません。本人の言葉は大切な情報として情報の欄に書き、観察した場面や記録など、ほかの情報と照らし合わせてから、本人にとっての課題かどうかを分析の欄で考えます。

A. 現在の状況、原因・理由、続いた場合に予想されること、望ましい状態、必要な支援、留意すること、の6つの問いに順番に答えて文章をつなげる方法があります。学校で別の様式が指定されている場合は、その項目に沿って書いてください。

A. 解釈の文の中に、根拠にした情報を具体的に入れます。たとえば「〜という発言と、〜という様子から、〜と考えられる」と書きます。根拠が1つしかないときは、決めつけずに「〜の可能性がある。〜を観察して確かめたい」と次に確かめることとして書きます。

A. 病気や体の状態についての判断は、学生が自分で結論を出すものではありません。気づいた情報は情報の欄に事実として書き、実習指導者や看護職に伝えて確認します。

この記事を、自分の経験を整理するきっかけに

まずは公開せず、次の3点を手元のメモに書いてみてください。

  1. どんな場面で、何を見たり聞いたりしたか
  2. 自分は何を考え、どんな工夫をしたか
  3. 同じ立場の人に、どんな経験や工夫を聞きたいか

業務記録をそのまま転載せず、利用者・家族・職場が特定される情報を含めない形に整理します。迷う内容は公開前に職場のルールと相談先を確認してください。

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