素敵なコラム紹介 #2|続けるための、やさしい設計
素敵なコラム紹介 #2|続けるための、やさしい設計
けありんぐ編集部です。3週間ごとにお届けしているこの連載も、今回で第2回を迎えました。今日ご紹介する3本のコラムには、ひとつだけ共通する手ざわりがありました。それは「気合いで続ける」のではなく、「続けられるように、書式や動線をそっと整え直す」という、現場と暮らしの知恵です。
朝の申し送り室、夜勤明けの玄関、突然の電話のあとの30日。場面はそれぞれ違うのに、書き手のみなさんが選んだ動詞は不思議と似ていました。整える、戻す、拾える。どれも、自分や仲間を追い込まない言葉です。読み終えたあとに、ふっと肩のちからが抜けるような3本を、順にご紹介します。
申し送りを「書式の問題」として捉え直した主任さんのまなざし
特養の朝6時30分、ストップウォッチ片手に申し送りの時間を眺めていた主任さんのコラムです。「もう一度ノートに戻る人がいる」という小さな描写から始まり、「これは個人のがんばりの話ではなくて、書式の方を整えないと続かないやつだ」と気がつくまでの間合いが、とてもていねいに書かれています。書く側も読む側も全力でがんばっている朝の風景を否定せず、そのうえで仕組みのほうに手を入れるというまなざしが、現場で働く方の胸に静かに届くと思います。
5行に絞るという発想そのものより、「30秒早くなった」をきちんと数字で残してくれているところに、編集部はあたたかさを感じました。主任ノートとして書かれた具体性が、明日の申し送り室で試してみたくなる手ざわりを残してくれます。 → 夜勤明けの申し送りを5行に絞ったら、朝の動き出しが30秒早くなった話
玄関の三和土で、自分の体に気づき直した理学療法士さんの5つの戻し方
夜勤明けの玄関で腰が止まった朝のことから始まる、12年目の理学療法士さんのコラムです。「治る」「効く」ではなく「整える・戻す・続けやすくする」を自分の動詞として選び直したという一節は、職業人としてのまなざしと、ひとりの生活者としてのまなざしが、同じ高さでならんでいるようでした。夜勤と、お母さまの介護と、子育てを重ねている方の言葉だからこそ、「気合いで続けるのをやめる側に立った」という選択の重さが、すっと伝わってきます。
特に編集部が好きだったのは、「やる気がなくても1つだけ拾える」設計にした、という設計思想です。5つ全部できなくていい、1つでいい、と最初から組まれているところに、明日もう一度開きたくなる安心感がありました。同じように夜勤明けの体と向き合っている方に、そっと差し出したい1本です。 → 夜勤明けの玄関で腰が止まらないように、わたしが続けている 5 つの戻し方
突然の電話のあと、30日の地図を描き直してくれた家族側のコラム
職場で「お父さんが倒れて運ばれました」の一本の電話を受けた日から書き起こされた、ご家族側のコラムです。ICU前の長椅子で何も考えられなかった夜の手ざわりから始まり、退院から1.5ヶ月経った今だからこそ書ける「最初の30日でやっておくこと」が、順序立てて残されています。「完璧にやるのは諦めました」と先に言い切ってくれているところが、同じ時期にいる読み手の肩を、まず軽くしてくれます。
倒れた日から退院までを「家族にとって1番ぐらつく時期」と名づけ、そのうえで「やる気がない日でも1つだけ拾える」設計にしてあるという書き方が、コラム2と響き合っていて、編集部としても発見でした。在宅か施設かを問われて立ちすくんだ経験のある方にも、これからその場面に立つかもしれない方にも、地図として手元に置いておきたくなる1本です。 → 親が突然倒れた日から退院までの 30 日で、家族側がやっておく 5 つ
3本を読み終えて、編集部が受け取ったのは「続けるためには、書式や動線のほうを整え直していい」という、現場と暮らしの両方からの励ましでした。書き手のみなさんが選んでくださった、低めの体温の言葉たちが、読んでくださった方の明日を少しだけ軽くしてくれたら嬉しいです。
次回もおよそ3週間後、素敵なコラムをまた3本、ここでご紹介します。読んでみたくなった方も、書いてみたくなった方も、どうぞ、ご自分のペースでお越しください。
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