夜勤明けの玄関で腰が止まらないように、わたしが続けている 5 つの戻し方
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夜勤明けの玄関で腰が止まらないように、わたしが続けている 5 つの戻し方
夜勤明け、朝 9 時を少し過ぎた頃。 自宅の玄関で靴を脱ごうとして、わたしは思わず手すりに掴まりました。
腰が、普段の半分くらいしか曲がらないんですよね。気合いを入れたら戻る、というレベルじゃなくて、「あ、これ、整えないと続かないやつだ」と、玄関の三和土を見ながらぼんやり思った日のことを、今でも覚えています。
介護施設の現場で 12 年、理学療法士として、特養と老健の両方で働いてきました。「治る」「効く」は、わたしの仕事の言葉ではありません。整える・戻す・続けやすくする、が動詞として馴染んできました。
夜勤明けの腰が止まらない日が増えてから、わたしは「気合いで続ける」をやめる側に立ちました。3 年前に父を看取ったのを機に、実家を二世帯にリフォームして、1 階の母(70 代・認知症が緩やかに進んでいる)の介護を始めた時期と重なります。
夜勤+介護+子育てを 4 つ抱える中で、玄関で腰が固まる頻度が少しずつ減ったきっかけになった、わたしの 5 つの「戻し方」を、ここに書き残しておきます。
「やる気がなくても 1 つだけ拾える」設計にしてあります。これが、続けるための条件です。
なぜ夜勤明けの「玄関」だったのか
夜勤明けの体は、夜中の介助で腰の筋肉が固まり、夜風で内臓が冷え、申し送り中の集中で肩が上がっています。それを家に持ち帰ったまま、靴を脱ぐ瞬間に屈むので、玄関で腰が「止まる」ことが起こります。
PT 風に言えば「立位保持から前屈への移行時、体幹屈筋・腸腰筋の収縮が解けず代償動作が起こる」ですが、家族介護を始めてからは、その言葉を使うのもやめました。**「腰が、固い」**で十分です。
玄関の三和土は、夜勤明けの体と、家庭モードの体の、境界線です。 ここで 1 つだけ「戻す」が入ると、その日の残りが少し違うことに、何度か気がつきました。
それから、玄関は 「迎えてくれる人」と「迎える側の自分」の境界でもあります。1 階で待つ母の「あら、お疲れさま」を、ちゃんと受け取る体に戻すための、最初の 1 メートルが、玄関の三和土です。

わたしが続けている 5 つの戻し方
「これをやれば治る」ではありません。ただ、わたしが続けてきて、玄関で止まる頻度が減ったもの、です。
1. 玄関で背伸びを 1 つ(腰を曲げる前に肺を広げる)
靴を脱ぐ前に、玄関で背伸びを 1 つだけ。両手を上にあげて、肩甲骨を寄せて、3 秒。それだけです。
体幹を伸ばしてから屈むと、腰の負担が変わる、というのが PT としての知識ですが、難しい話より、「お辞儀の前に背伸び 1 つ」 が朝のおまじないになりました。
夜勤明けの肺は、感情と一緒にすこし縮こまっていることが多くて、3 秒の背伸びが入ると、家に入る前に「ふっ」と緩むタイミングが作れます。
2. 服を変える前に、お湯を一口
夜勤明けの内臓は、思っているより冷えています。寝室に直行する前に、台所でお湯を一口。コーヒーでも、白湯でも、構いません。
うちでは、母が「あら、お湯飲んできなさい」と先に渡してくれる日があります。介護を「する側」だけで完結しないで、母に「してもらう」一手が、わたしの体を少しだけ緩めてくれます。
「お母さん、お疲れさま」を返してもらう、という小さな循環が、自分の体に効くんだな、と気づくのに、わたしは半年かかりました。
3. 2 階に上がる前に、母の部屋で 1 分だけ座る
寝る前に階段を 16 段上がるのは、腰が固まった朝にはちょっとした登山です。
直行せず、母の居間で 1 分だけ座って、今日のスケジュール(ヘルパーさんが来る曜日・通院の予定・好きな番組)を母と確認します。
母との接続を切らないことが、後で自分が起きた時の「家族モード」への戻りを早くしてくれる、というのが体感です。 「夜勤の自分」から「家の自分」へ移る橋を、玄関と階段の間に 1 つ置く、というイメージです。

4. 寝る前にラジオを 5 分だけ流す
夜勤中の声(職員さん同士の引き継ぎ・利用者さんの声・ナースコール)が、脳の中で続いてしまうことがあります。
ラジオを 5 分だけ流して、別の声を入れる。それで、頭の中の「夜勤の声」が、少しだけ静かになります。
テレビは情報量が多すぎて、眠りに移りにくいので、わたしはラジオの方が合いました。家族の声が聞こえる時間帯(朝の生放送番組など)が、特に効いた気がしています。「人の声がある家に帰ってきた」というのを、頭にしっかり入れてから眠る、と表現すると近いかもしれません。
5. 起きたら、腰を「動かす」じゃなく「ほぐす」
午後に起きたら、つい立ち上がってストレッチしたくなります。でも、夜勤明けの腰には早すぎることがあります。
代わりに、布団の上で 30 秒だけ、両手で腰の横を温めるように包みます。「動かす」前に「あたためる」。
これも、リハの本に書いてあったような知識を、自分の体で試して残った 1 つです。腰が温まると、動かしたくなる体の方が自然に動き出す、という順序にしました。「ストレッチしないと」と思って腰を伸ばすと、夜勤明けの体は固いまま伸びるので、かえって痛めることがあるんですよね。

なぜ「治る」「効く」を使わないか
ここまで読んで、「これ、本当に効くの?」と思った方もいるかもしれません。
正直に言うと、わたしも「効くかどうか」は分かりません。 分かっているのは、わたしの体では、続けやすくなった、というだけです。
「治る」「効く」「改善する」は、薬や治療の効果を断定する書き方になります。理学療法士として、家族向け・介護職員向けの記事を書く立場として、その言葉は使わない方が正しい、と整理しています。代わりに使うのは、「戻す・整える・続ける・楽になった気がする」。
これは、書き手の責任の取り方の話でもあります。 読み手の方にも、「これをやらないと続かない」と思わせたくないんです。続けるかどうかは、その人の体が決めます。わたしの 5 つは、あなたの体に合えば 2 つだけ拾えばいい。合わなければ、捨ててください。それで十分です。

5 つ全部やる必要はないんです
夜勤明けが軽い日(前夜が穏やかだった日)は、玄関の背伸び 1 つだけで十分です。
重い日に 3〜4 つ拾える設計にしてあります。
「全部やらないと意味がない」という設計は、続きません。介護現場の段取りも、家族介護のリズムも、同じだと思っています。
1 個でも拾えれば、それで足りる、というところに落ち着くまでに、わたしも 1 年かかりました。
そして、5 つの戻し方は、ときどき入れ替わります。子どもの学校の予定や、母の通院の日、夜勤帯の状況によって、その月に効くものは違ってきます。今は冬なので「お湯を一口」が一番効いていて、夏になったら入れ替わる予感もしています。
セルフケアの引き算は、休息の足し算とセットでないと続かない、と、わたしは思っています。

朝の玄関で、最初に拾う 1 つは?
夜勤明けの玄関で、もし 1 つだけ拾うとしたら、どの「戻し方」を試してみますか?
わたしは「お辞儀の前に背伸び 1 つ」と答えます。これがあると、その日の腰の止まり方が、ちょっとだけ違います。
「うちには合わなかった」「3 つで足りた」「逆に増やした」という結果になっても、それは正解です。 戻し方は、あなたの体が回るための道具で、あなたが戻し方に合わせる話ではないので。
明日の夜勤明け、1 つだけでも体を戻してから家のドアを開ければ、それで十分の収穫だと、わたしは思っています。

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介護現場で12年の理学療法士です。夜勤明けの介護職員さんと家族介護中の方の隣で、続けるための体の整え方を配信します。 責めない温度感で記載します。
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