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その他2026年6月29日6分で読める

素敵なコラム紹介 #3|続けるために整える

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素敵なコラム紹介 #3|続けるために整える
目次

素敵なコラム紹介 #3|続けるために整える

けありんぐ編集部です。「素敵なコラム紹介」も、今回で第 3 回を迎えました。3 週間に一度、現場で働くみなさんの手もとに、そっと置いておきたいコラムを編集部が選んでお届けしています。今日も少しの時間、肩の力を抜いて読んでいただけたらうれしいです。

この回を貫くテーマは、「続けるために整える」です。介護や福祉の仕事は、一日でぱっと終わるものではありません。明日も、来週も、来月も続いていく。だからこそ、がんばりだけで押し切ろうとすると、どこかで息が切れてしまう場面があります。今回ご紹介する 3 本は、書き手それぞれが、自分や職場の「続けやすさ」を、ほんの少しだけ整えていった記録です。

なぜ今このテーマで選んだのか。梅雨の終わりから夏のはじめにかけては、体も気持ちも、知らないうちに重たくなりやすい時期だからです。早退をお願いする一歩の重さ、朝の申し送りでもう一度ノートに戻ってしまう数十秒、移乗のたびに耳の近くまで上がっていく肩。どれも、誰かがサボっているわけではなく、まじめに向き合っているからこそ生まれる小さな負荷です。そういう負荷に気づいて、責めるのではなく整えていく。そんな視点を持った 3 本が、今回はそろいました。

仕事と職場のこと、現場の段取りのこと、そして自分の体のこと。切り口はそれぞれ違いますが、根っこには「無理なく続けたい」という同じ願いが流れています。では、順にご紹介していきます。

親の介護を、上司にどう切り出すか — 早退を続けた月に、わたしが職場で整えた 5 つ

1 本目は、中堅メーカーの総務部で係長を務める「なかぴー」さんが、お父さまの通い介護をしながら、職場とのやりとりを整えていった記録です。3 ヶ月前にお父さま(79 歳)が倒れ、車で 40 分の実家へ週 3〜4 回。仕事を続けながらの介護がはじまった、その最初の数ヶ月の手ざわりが、静かな筆致で綴られています。タグには「仕事と介護の両立」「介護休業」「職場」「家族介護」「介護離職」と並び、いままさに同じ場面に立っている方の状況に、そっと寄り添う一本です。

このコラムが心に届くのは、「介護そのものより、職場にどう伝えるかで消耗していた」と、書き手がご自身の本音を正直に置いてくれているからだと、編集部は感じました。給湯室の前で一度深呼吸をしてから上司の席へ向かう、あの一歩の重さ。制度の上では半休も中抜けも取れるはずなのに、毎回言い出すのがしんどい——その感覚を「根性が足りないからではなかった」と言い切ってくれるくだりに、救われる方は少なくないはずです。早退や中抜けを願い出ることに気後れしてしまうのは、自分が弱いせいではないのだ、と、肩の荷がひとつ下りるような言葉が置かれています。

そして、つらかった経験を嘆きで終わらせず、「わたしなりに整えた 5 つ」という形にして書き残しているところに、この方のやさしさがあります。しかも、完璧を目指すのではなく「やる気がない日でも 1 つだけ拾える」設計にしてある、という構えがいい。全部できなくても、今日の自分がひとつ手に取れるなら、それでいい。そんな余白のある整え方は、読み手を急かしません。

読み終えたあとに残るのは、「伝え方は、自分で少しずつ整えていけるものなんだ」という、ささやかな手がかりです。親の介護と仕事のあいだで、職場への一言に消耗している方。あるいは、これからその場面を迎えるかもしれない方。同じ立場の同僚を、どう支えればいいか考えている管理職の方にも、静かに響く一本だと思います。編集部として、まずこのコラムをおすすめします。

親の介護を、上司にどう切り出すか — 早退を続けた月に、わたしが職場で整えた 5 つ

夜勤明けの申し送りを5行に絞ったら、朝の動き出しが30秒早くなった話

2 本目は、特養で主任を務めて 2 年目の方が、朝の申し送りの「書式」そのものを整えていった現場の記録です。朝 6 時 30 分の申し送り室。夜勤明けの介護福祉士さんがノートを開いて待ち、日勤の職員さんがやや急ぎ足で入ってくる。夜の出来事、朝の優先順位、食事の注意、看護師さんへの申し送り、家族連絡——どれも大事な情報が、限られた時間にぎゅっと詰まっている、あの時間帯の空気が、丁寧に描かれています。

このコラムの良さは、「靴をはく前に、もう一度ノートに戻る人がいる」という、ごく小さな場面をすくい上げているところにあります。みんな大事だから、書く側は「全部書こう」とがんばり、読む側は「全部読もう」とがんばる。そのまじめさのなかで、朝の動き出しが少しずつ遅れていく。その遅れを、誰かの努力不足としてではなく、「個人のがんばりの話ではなくて、書式の方を整えないと続かないやつだ」と捉え直したところに、この主任さんの視点のあたたかさがあります。人を変えようとするのではなく、仕組みを整える。そのまなざしに、ほっとする方は多いのではないでしょうか。

タイトルにある「5 行に絞ったら、朝の動き出しが 30 秒早くなった」という一節も、とても具体的です。大きな改革の話ではなく、毎朝の数十秒という、現場の人なら肌でわかる尺度で語られているからこそ、読んでいて情景が浮かびます。「書式を変えたら、申し送り読了の時間が平均で」——と続く先を、つい読み進めたくなる構成も魅力です。

読み終えて残るのは、「続かないと感じたとき、責める先は人ではなく仕組みかもしれない」という、現場で明日から思い出せそうな手がかりです。申し送りや記録の段取りに、なんとなくの引っかかりを感じている方。チームの朝をもう少し軽くしたいと考えているリーダーや主任の方に、編集部はこの一本をおすすめします。小さな工夫が、朝の空気をやわらげていく過程を、ぜひ味わってみてください。

夜勤明けの申し送りを5行に絞ったら、朝の動き出しが30秒早くなった話

移乗のたびに肩がすくむわたしが、勤務の合間にほどいている 5 つの合図

3 本目は、特養と老健の両方で 12 年働いてきた理学療法士の方が、勤務している最中の「肩のこわばり」と向き合った記録です。日勤の午前、申し送りと最初の移乗を終えて更衣室の鏡をのぞいたとき、自分の肩が耳の近くまで上がったままだった——その気づきから、コラムははじまります。力を入れているつもりはないのに、いつのまにかすくんでいる肩。多くの現場の方が、思わず自分の肩に手をやりたくなる書き出しです。

このコラムが心にしみるのは、書き手が「治る」「効く」を自分の仕事の言葉ではない、と静かに線を引いているところです。代わりに馴染んできた動詞は、「整える・戻す・続けやすくする」。専門職としての誠実さがにじむ姿勢で、断定や売り込みではなく、自分の体を労わるための小さな合図を、そっと差し出してくれます。移乗や体位交換のたびに無意識に持ち上げてしまう肩を、勤務の合間に少しだけ「ほどく」。その表現の、やわらかさがいいのです。

そして、ここでも「やる気がなくても 1 つだけ拾える」設計にしてある、と書かれています。続けるための条件は、完璧さではなく、手に取りやすさなのだ、という一貫した構えが、読んでいて心地よく感じられます。以前に書かれた夜勤明けの腰の話と地続きでありながら、今回は「勤務している最中の肩」という、まさに今この瞬間の体に焦点を当てているのも、現場で働く方にとってありがたい視点です。

読み終えたあとに残るのは、「自分の体を後回しにしなくていい」という、やさしい許しのような感覚です。移乗や体位交換で肩や首のこわばりを感じている方。利用者さんのケアに集中するあまり、自分のケアをつい忘れてしまう方に、編集部はこの一本をおすすめします。鏡の前で肩の高さに気づいた、あの瞬間を、きっとあなたも知っているはずです。

移乗のたびに肩がすくむわたしが、勤務の合間にほどいている 5 つの合図

今回ご紹介した 3 本には、共通して流れているものがありました。それは、「うまくいかない原因を、自分や誰かの努力不足に求めない」というまなざしです。伝え方を整える、書式を整える、体をほどく。対象は違っても、どれも責めるのではなく、続けやすいかたちに整え直そうとしています。

もうひとつ通っているのは、「全部やろうとしなくていい」という余白です。やる気がない日でも 1 つだけ拾える、靴をはく前にもう一度戻らずにすむ、合間にひとつだけほどく。完璧を求めない設計だからこそ、明日も、来週も続けていける。介護や福祉の仕事を長く続けていくうえで、この「ほどよさ」は、とても大切な味方になってくれるのだと、編集部はあらためて感じました。

今日のどこかで、肩の力をひとつ抜けたら。早退の一言が、少しだけ軽くなったら。朝のノートから、すっと顔を上げられたら。そんな小さな変化を、この 3 本がそっと後押ししてくれますように。次回「素敵なコラム紹介 #4」でも、現場のみなさんの毎日に寄り添うコラムを選んでお届けします。どうぞ、お体を大切に。またお会いしましょう。

#素敵なコラム紹介#編集部より#仕事と介護の両立#介護休業#職場#家族介護#介護離職#申し送り
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