親が突然倒れた日から退院までの 30 日で、家族側がやっておく 5 つ
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親が突然倒れた日から退院までの 30 日で、家族側がやっておく 5 つ
平日の昼、職場で「お父さんが倒れて運ばれました」の一本の電話を受けた日のことを、今でも覚えています。
頭が真っ白でした。早退して救急病院に駆け込んで、ICU の前の長椅子に座って、何をどう考えたらいいかも分からなかった夜です。
なかぴー、52 歳、ふつうの会社員です。中堅メーカーの総務部で係長を、28 年勤めてきました。3 ヶ月前、地方で一人暮らしをしていた父(79 歳)が脳梗塞で突然倒れて、わたしの家族介護がはじまりました。
「気合いで全部やる」が無理だと気がつくまでに、わたしも 1 ヶ月以上かかりました。
今これを読んでくださっている方の中には、似た時期にいる方もいるかもしれません。 「最初の 30 日で、何を、どの順序でやればよかったのか」を、退院から 1.5 ヶ月経った今、書き残しておきます。
完璧にやる、というのは諦めました。 「やる気がない日でも 1 つだけ拾える」設計にしてあります。
「初動 30 日」って、何を始めればいいかが本当に分からない時期
倒れた日から退院までの 30 日は、家族にとって 1 番ぐらつく時期です。
病院から「在宅にしますか、施設ですか」と聞かれて、何も準備ができていないのに、答えなきゃいけない場面が次々来ます。
倒れた直後の家族(つまり昔のわたし)が直面するのは、たいてい以下のような問いです。
- 退院後、誰が見ますか
- ケアマネさんって、どこに頼みますか
- 家のお風呂、トイレ、ベッド、何を変えますか
- 仕事はどうしますか
- きょうだいに、いつ、何を伝えますか
これを 30 日で全部完璧にやろうとすると、家族側がまず倒れます。
「30 日でやる」のではなくて、「30 日のあいだに、5 つだけ仕込んでおく」、というのが、わたしが落ち着いてきた整理です。

わたしがやった 5 つの段取り
「これをやれば完璧」ではありません。ただ、退院後の自分を少しでも楽にしてくれた 5 つ、です。順序も大事なので、番号通りに整理します。
1. 地域包括支援センターに 1 回、足を運ぶ
倒れた直後、わたしは「ケアマネさん」も「要介護認定」も知りませんでした。 入院 3 日目に、看護師さんから「地域包括支援センターに相談してください」と言われて、初めてその窓口を訪ねました。
地域包括は、家族介護の最初の道しるべです。要介護認定の申請書類の出し方、ケアマネ事務所の候補一覧、福祉用具レンタル業者の地域リスト、初めての家族介護向けの冊子。電話やメールでもいいですが、わたしは 1 回だけ足を運ぶことを勧めます。
「ここに来れば話を聞いてくれる人がいる」、というのを体で覚えると、その後の 30 日が違います。
2. 要介護認定の申請を、迷わず出す
「まだ介護が必要かどうかも分からないし」と、わたしは認定申請を 1 週間ためらいました。これは反省点です。
要介護認定は、申請してから判定が出るまでに 1 ヶ月前後かかります。退院前カンファに認定結果が間に合わないと、退院後のサービスを組むのが難しくなります。
「介護が必要かどうか分からない」ではなくて、「分からないから、判定を出してもらう」。これが順序として正しい、と地域包括の方に教わりました。書類は地域包括が手伝ってくれます。
3. ケアマネさん候補を 2〜3 人、比較する
地域包括でケアマネ事務所のリストをもらったら、その中から 2〜3 人と電話で話します。 わたしは「初回相談 30 分」だけお願いして、3 つの事務所に電話しました。
聞いたのは 3 つだけです。
- うちの父のような片麻痺の方を、過去にどれくらい担当されてきましたか
- 緊急時に連絡が取れる時間帯はいつですか
- 月 1 回のサービス担当者会議、家族はどうやって参加しますか
このうちの 1 人と、結果として今まで一緒に伴走してもらっています。
ケアマネさんは "依頼する相手" ではなくて "選ぶ相手"、というのも、地域包括で教えてもらった視点でした。

4. 退院前カンファに、「家族 1 枚シート」を持っていく
退院前カンファレンス(病院・ケアマネ・家族・場合によってリハの先生が集まる会議)は、家族にとってちょっと緊張する場です。
わたしは事前に A4 1 枚のシートを作って持っていきました。書いたのは 5 行だけです。
- 退院後、平日の主な見守りは誰(わたし・通い)
- 不安に思っていること(夜間のトイレ・むせ・再発)
- 仕事との両立で確保したい時間(火・木の中抜け可)
- きょうだいの体制(弟は遠方・実働できず・LINE で報告)
- 当面のお金の話(父の年金・通帳は預かり中・施設費の上限の目安)
これを場の最初に渡しておくと、「在宅で看られますか」という大きな問いが、5 つの具体的な相談に分解されます。
家族 1 人の頭の中だけで決めなくてよくなる、というのが、このシートの一番の効果でした。

5. 退院直後の最初の 1 週間の体制を、仮置きする
退院は決まったけど、退院日の翌朝、誰が父の様子を見にいくのか。 夕食の準備は誰がするのか。お風呂はどうするのか。
退院前カンファの帰り道で、わたしはケアマネさんと 「退院後最初の 7 日間の仮スケジュール」 を作りました。
- 月: わたし朝、ヘルパー昼
- 火: ヘルパー朝、デイサービス
- 水: わたし朝(在宅勤務に切り替え)
- 木: ヘルパー朝、デイサービス
- 金: わたし朝、訪問リハ午後
仮置きなので、退院後 1 週間で必ず崩れます。それでいいんです。
「崩れたら直す」前提で、最初の 1 週間の枠だけ仮置きしておく。「ノープランで退院日を迎える」と、その日のうちに家族が消耗します。仮置きの枠があるだけで、崩れた時の修正幅が小さくなります。

完璧にやらなくていい設計
ここまで読んで、「5 つ全部やる時間も気力もない」と思った方もいるかもしれません。
正直に言うと、わたしも 1 つずつ、抜けたり戻ったりしました。ケアマネさんを 1 人しか比較しなかった週もあれば、家族 1 枚シートを書けなかった週もあります。
それでも、5 つを「やる順番として知っているだけ」で、退院後の混乱が少し違いました。
「やった/やってない」じゃなくて、「次にやる 1 つは何か」が見えていることが、初動 30 日では一番効きます。 1 つでも拾えれば、そこから次に繋がります。
「親不孝だ」とか「もっと早くやればよかった」と自分を責めなくて、いいんです。 家族側が責められる立場にいるのではなくて、家族側も、はじめての場面に立っている人だから。

「兄に伝えるタイミング」は、最初の 2 週間以内に
5 つの段取りの外側に、もう 1 つだけ書いておきたいことがあります。
きょうだい(うちの場合は、新幹線 2 時間の遠方に住む弟)に「いつ・どこまで」伝えるか、は、後回しにしがちです。 でも、後回しにすると、1 ヶ月後に「もっと早く言ってよ」と弟に言われる夜がやってきます。
倒れた直後、わたしは弟に「父が脳梗塞で倒れた。詳しいことは追って LINE する」とだけ伝えました。その後、最初の 2 週間以内に、弟との LINE グループを作って、毎日 1 回・3 行で状況を共有するルールにしました。
「ありがとう、お姉ちゃん任せちゃってごめん」と弟から返ってきます。それで十分です。
実働を期待せず、報告だけ淡々と続ける、というのが、わたしのきょうだい調整の落ち着き先でした。
30 日経って、わたしが残せた 1 つ
倒れた日から 30 日。退院前カンファが終わって、退院日を迎えて、最初の 1 週間が崩れて、また組み直して、を繰り返した 1 ヶ月でした。
その 30 日で、わたしが自分に残せたのは、「全部できなくてもいい」と言える側に立った、という気持ちでした。
完璧にやろうとして抱え込んでいた頃よりも、5 つのうちの 1 つだけ進めた日の方が、夜に眠れました。
あなたの「最初の 30 日」のどこに、わたしの 5 つを置けそうですか?
1 つだけ拾って、明日試してみていただけたら、それで十分の収穫だと、わたしは思っています。

コメント1
- け
けあまる
@caremaru
👍
0 
しらすNs
@sirasukango
クオリティの高い内容で勉強になりました!!
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