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セルフケア2026年6月9日5分で読める

移乗のたびに肩がすくむわたしが、勤務の合間にほどいている 5 つの合図

あさひ
あさひ
@kaigo_health
移乗のたびに肩がすくむわたしが、勤務の合間にほどいている 5 つの合図
目次

移乗のたびに肩がすくむわたしが、勤務の合間にほどいている 5 つの合図

日勤の午前、申し送りと最初の移乗を終えて、更衣室の鏡をふと見たときの話です。

鏡の中のわたしの肩が、耳の近くまで上がったままでした。力を入れているつもりはないのに、肩がすくんで、首が短く見える。ああ、わたし、朝からずっとこの肩で介助していたんだな、と、そのとき初めて気づきました。

介護施設の現場で 12 年、理学療法士として、特養と老健の両方で働いてきました。「治る」「効く」は、わたしの仕事の言葉ではありません。整える・戻す・続けやすくする、が動詞として馴染んできました。

夜勤明けの腰のことは、前に書きました。今日は、夜勤明けではなく、勤務している最中の肩の話です。移乗や体位交換のたびに、わたしたちの肩は少しずつすくんでいって、気づいたときには耳の近くまで上がっている。その肩を、勤務の合間に少しだけ「ほどく」ための、わたしの 5 つの合図を書き残しておきます。

「やる気がなくても 1 つだけ拾える」設計にしてあります。これが、続けるための条件です。

なぜ勤務中の「肩」だったのか

移乗や体位交換のとき、わたしたちは無意識に肩を持ち上げています。利用者さんを引き寄せる、支える、ベッドの高さに合わせて屈む——その一連の動きで、肩がすくむ姿勢が、1 日に何十回も繰り返される。

PT 風に言えば「上肢挙上を伴う反復動作で僧帽筋上部が持続収縮し、肩甲帯が挙上位で固定される」ですが、現場でこの言葉を使うことはありません。**「肩が、上がりっぱなし」**で十分です。

やっかいなのは、肩は「すくんでいること」に自分で気づきにくい、ということです。腰なら、玄関で屈んだ瞬間に「痛い」と分かる。でも肩は、すくんだまま固定されて、それが普通になってしまう。鏡で見て初めて、「あ、上がってた」と分かる。

だから、肩は痛くなる前に、合図で気づくしかないんですよね。わたしの 5 つは、その「気づく合図」です。

移乗のあと、鏡の中で肩が耳の近くまで上がっている場面

わたしが勤務の合間にほどいている 5 つの合図

「これをやれば肩こりが治る」ではありません。ただ、わたしが続けてきて、勤務終わりの肩が少し軽くなったもの、です。

1. 申し送りの前に、肩を 1 回だけ「落とす」

申し送りで立つ前に、息を吐きながら、肩をストンと 1 回だけ下げます。上げてから、ストン。それだけです。

肩は「下げよう」と思っても、力で下げると別の場所が固まります。一度上げてから、吐く息と一緒に手放す。この順番にすると、肩が自分から降りてくれる感覚が作れます。朝いちばんの合図に、ちょうどいいんです。

2. カートを押す手の高さを、肘が伸びきらない位置に

配膳カートや記録カートを押すとき、つい遠くに手を伸ばして、肘が伸びきった姿勢で押してしまいます。これ、肩が一番すくむ姿勢なんですよね。

カートに少し近づいて、肘が軽く曲がる位置で押す。手元を体に寄せるだけで、肩の持ち上がりが変わります。わたしは「カートと仲良く」と頭の中で唱えています。

3. 記録の PC の前で、画面を見る前に肩を 1 つ後ろへ

記録の入力に座ると、画面に向かって肩が前に巻きます。座った瞬間、画面を見る前に、肩を 1 回だけ後ろに回す。肩甲骨を「軽く寄せて、ほどく」。

座り作業は、立ち仕事の合間の休憩のようでいて、実は肩が前に固まる時間です。座る前のひと回しを合図にすると、入力中の巻き肩が少し減ります。

5 つの合図を勤務の流れに沿って並べた図解

4. 移乗の前に、手より先に「足を置く」

移乗のとき、肩から持ち上げようとすると、肩に全部のせてしまいます。利用者さんに近づいて、自分の足を支える位置に先に置いてから、手を出す。足が先、手が後。

これは移乗のフォームの話なので、PT としての知識が一番効く部分です。足の位置が決まると、引き寄せる力が肩ではなく体全体に散ります。肩だけで頑張らない姿勢を、合図にして体に入れておく。利用者さんにとっても、ぐらつきが減って安心につながります。

5. 休憩で、肩甲骨を背もたれに「預ける」

休憩室の椅子に座ったら、背もたれに肩甲骨をぺたっと預けて、30 秒だけ。ストレッチではありません。ただ、預ける

夜勤明けの腰を「動かす前にあたためる」と書いたのと同じで、固まった肩は、いきなり回すより、まず預けて体重を抜く方が、わたしには合っていました。スマホを見ながらでも、肩だけは背もたれに預けておく。それだけで、午後の肩のすくみ方が変わります。

休憩室の椅子で肩甲骨を背もたれに預ける場面

なぜ「肩こりが治る」と書かないか

ここまで読んで、「これ、本当に肩こりに効くの?」と思った方もいるかもしれません。

正直に言うと、わたしも「効くかどうか」は分かりません。 分かっているのは、わたしの体では、勤務終わりの肩が少し軽くなった、というだけです。

「治る」「効く」「改善する」は、治療の効果を断定する書き方になります。理学療法士として、介護職員向けの記事を書く立場として、その言葉は使わない方が正しい、と整理しています。代わりに使うのは、「ほどく・整える・続ける・楽になった気がする」。

これは、書き手の責任の取り方の話でもあります。読み手の方にも、「これをやらないと続かない」と思わせたくないんです。続けるかどうかは、その人の肩が決めます。わたしの 5 つは、あなたの体に合えば 2 つだけ拾えばいい。合わなければ、捨ててください。それで十分です。

「治る」じゃなく「ほどく」と書く理由を整える場面

5 つ全部やる必要はないんです

利用者さんの移乗が少なかった日は、申し送り前の「肩を 1 回落とす」だけで十分です。

移乗が重なった日に 3〜4 つ拾える設計にしてあります。「全部やらないと意味がない」という設計は、続きません。

白状すると、わたしも勤務中の肩には、ずっと無頓着でした。腰は守るのに、肩は鏡を見るまで放っていた。家でも、母をベッドから起こすときに、つい肩で持ち上げて、夜に背中が張ったことが何度もあります。プロでも、自分の肩のことは後回しになるんですよね。

5 つの合図は、ときどき入れ替わります。その月の利用者さんの介助量や、自分の疲れ方によって、効くものは違ってきます。セルフケアの引き算は、休息の足し算とセットでないと続かない、と、わたしは思っています。

夕方、肩の力が抜けた状態で家族と食卓を囲む静かな場面

勤務中、最初にほどく 1 つは?

移乗のあと、もし 1 つだけ肩をほどくとしたら、どの合図を試してみますか?

わたしは「申し送りの前に、肩を 1 回だけ落とす」と答えます。これがあると、その日の肩の上がり方が、ちょっとだけ違います。

「うちには合わなかった」「2 つで足りた」「逆に増やした」という結果になっても、それは正解です。合図は、あなたの体が回るための道具で、あなたが合図に合わせる話ではないので。

今日の勤務終わり、鏡の中の自分の肩が、耳から少し離れていたら、それで十分の収穫だと、わたしは思っています。

勤務終わり、鏡の前で肩が下りている場面

#移乗#肩のこわばり#セルフケア#介護職員#整える
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介護現場で12年の理学療法士です。夜勤明けの介護職員さんと家族介護中の方の隣で、続けるための体の整え方を配信します。 責めない温度感で記載します。

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