親の介護を、上司にどう切り出すか — 早退を続けた月に、わたしが職場で整えた 5 つ
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親の介護を、上司にどう切り出すか — 早退を続けた月に、わたしが職場で整えた 5 つ
その朝、また父の通院の付き添いで、午後から早退をお願いしようとしていました。今月に入って、3 度目です。
上司の席へ向かう前に、給湯室の前で一度、深呼吸をしました。「またか、と思われていないかな」。係長で、中抜けも半休も制度の上では取れるはずなのに、言い出すのが、毎回しんどい。あの一歩が、いちばん重かったんですよね。
なかぴー、52 歳、ふつうの会社員です。中堅メーカーの総務部で係長を、28 年勤めてきました。3 ヶ月前、地方で一人暮らしをしていた父(79 歳)が脳梗塞で倒れて、わたしの通い介護がはじまりました。実家まで車で 40 分、週 3〜4 回。仕事を続けながらの介護です。
介護そのものより、「職場にどう伝えるか」で消耗していた時期がありました。今日は、その伝え方を、わたしなりに整えた 5 つを書き残します。
完璧にやる、というのは諦めました。 「やる気がない日でも 1 つだけ拾える」設計にしてあります。
「言い出すのが毎回しんどい」のは、伝え方が場当たりだったから
早退や中抜けを願い出るのが毎回しんどかったのは、わたしの根性が足りないからではありませんでした。
理由は単純で、毎回、その場の思いつきで伝えていたからです。「すみません、また父の通院で…」と、申し訳なさを先に出して、いつまで続くのか、週に何回なのか、緊急時はどうなるのか、を自分でも整理できていない。だから上司も、どう返事をしたらいいか分からない。お互いが、毎回ゼロから探り合っていたんです。
これは、家族側が「申し訳ないことをしている」と思い込んでいる状態でもあります。でも、仕事と介護の両立は、後ろめたいことではありません。段取りとして職場と組み直す話であって、お願いして許してもらう話ではない、と気づくのに、わたしは 1 ヶ月かかりました。

わたしが職場で整えた 5 つ
「これをやれば角が立たない」ではありません。ただ、職場で言い出すしんどさが、少し軽くなった 5 つ、です。順序も大事なので、番号で整理します。
1. 「いつまで・週何回・連絡が必要な時間帯」を 1 枚にして上司に渡す
その都度の口頭ではなく、A4 1 枚のメモにして、一度だけ上司に渡しました。書いたのは 3 行だけです。
- 当面の見通し(数ヶ月単位なのか、もっと長くなりそうか)
- 週に必要な時間(火・木の午後は通院で抜けたい、など)
- 連絡が取れる時間帯と、緊急時に席を外す可能性
口頭だと毎回「すみません」から始まりますが、1 枚あると、毎回の早退が「予定の確認」に変わります。上司も、チームの段取りを組みやすくなります。
2. 使える制度を、総務に「順番に」聞く
介護休業、短時間勤務、時間単位の有給、在宅勤務。使える制度は会社によって違いますし、わたしも全部は把握していませんでした。
ここで大事なのは、自己判断で「うちの会社にはどうせない」と諦めないことです。わたしは総務部にいながら、自分が当事者になるまで、介護の制度をちゃんと調べていませんでした。制度の中身は、勤め先の総務や人事に確認するのが正確です。「介護 両立支援制度」で、お住まいの地域の労働局や、勤め先の規定を一度たどってみてください。
3. 上司への伝え方は「同情」ではなく「段取りの相談」で
伝えるとき、つい「大変で…」と同情を求める言い方になりがちです。でも、同情は一度きりで、段取りは続きます。
わたしは、**「困っているので助けてください」ではなく、「この体制で回したいので相談させてください」**に言い方を変えました。主語を「わたしの大変さ」から「チームの段取り」に移すと、上司も具体的に動きやすくなる。うちの上司(50 代後半)は「使える制度は使え」とだけ言う人で、その一言に、何度も救われました。

4. 同僚に「どこまで」打ち明けるかの線を、自分で決める
全員に話す必要はありません。でも、隠しきるのもしんどい。わたしは、直接フォローし合うチームの数人にだけ、「親の介護で、急に抜けることがあるかもしれない」と先に伝えておきました。
打ち明けてみて、意外だったことがあります。「実はうちも」と、同じ立場の同僚が、思っていたより何人もいたんです。介護は、みんな黙っているだけで、職場のあちこちにある。先に言っておくと、抜けたときに気まずくない。その安心が、月のしんどさを 1 段下げてくれました。
5. 「辞める前に、一度だけ相談する窓口」を決めておく
いちばん大事な 5 つ目です。両立がきつくなると、「いっそ辞めようか」が、ふっと頭をよぎる夜が来ます。
そのときのために、辞める決断をする前に、一度だけ相談する窓口を、先に決めておいてください。勤め先の相談窓口でも、地域包括支援センターでも、ケアマネさんでもいい。「介護離職」は、いったん決めると戻りにくい選択です。だからこそ、勢いで決めない仕組みを、元気なうちに置いておく。これは、わたしがいちばん人に伝えたい 1 つです。

完璧にやらなくていい設計
ここまで読んで、「5 つ全部は無理」と思った方もいるかもしれません。
正直に言うと、わたしも 1 枚メモを渡せないまま口頭で済ませた週もあれば、同僚に言えずに 1 人で抱えた週もあります。
それでも、5 つを「やる順番として知っているだけ」で、職場での消耗が少し違いました。「やった/やってない」ではなく、「次にやる 1 つは何か」が見えていること。それが、両立がきつい時期には一番効きます。
「仕事を優先するなんて」と自分を責めなくて、いいんです。働き続けることは、介護を続けるための土台でもあります。家族側も、はじめての場面に立っている人だから。

5 つの外側に、もう 1 つ
5 つの段取りの外側に、もう 1 つだけ書いておきたいことがあります。
それは、自分が倒れない時間を、職場の段取りの中に 1 つ残す、ということです。早退と中抜けで時間を詰めると、つい昼休みも通院の電話で埋めてしまう。でも、15 分でいいので、介護の連絡をしない時間を、平日のどこかに残してください。
わたしは、火曜と木曜の昼だけは、父の件の電話をかけないと決めました。たった 15 分ですが、その 15 分があるかないかで、夕方の自分の機嫌が違いました。
早退の朝、最初に整える 1 つは?
あなたの職場で、もし 1 つだけ伝え方を整えるとしたら、どこから始めますか?
わたしは「いつまで・週何回・連絡が取れる時間帯の 1 枚メモ」から、と答えます。これがあると、早退の朝の足取りが、ちょっとだけ軽くなります。
制度の中身は会社によって違うので、勤め先の総務や上司に。介護そのものの段取りは、地域包括支援センターやケアマネさんに、確認してくださいね。
1 つだけ拾って、明日試してみていただけたら、それで十分の収穫だと、わたしは思っています。
今日 1 個、進められますように。

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