多職種連携を円滑にする情報共有のコツ — ICFとSBARで伝わる記録を
執筆: けありんぐ編集部(介護福祉けありんぐ 編集部)
多職種連携を円滑にする情報共有のコツ — ICFとSBARで伝わる記録を
施設・在宅問わず、介護福祉の現場では 多職種連携 が欠かせません。看護師、PT/OT、ケアマネ、医師、管理栄養士など、それぞれ専門用語や視点が違う中で、自分の観察を正しく伝える 力が求められます。
よくある「伝わらない」シーン
シーン1: 申し送りがふわっとしている
「〇〇さん、今日ちょっと元気なかったです」
→ これだけでは、看護師は何を確認すべきか判断できません。
シーン2: ケアマネに状態を伝えきれない
担当者会議で「最近食欲が落ちている」と言っても、いつから、どのくらい、どんなときに が抜けていると、ケアプランへの反映は難しくなります。
ICFの視点で観察を整理する
ICF(国際生活機能分類)は、WHO が採択した 生活機能を多面的に捉える枠組み です。介護記録や申し送りの質を底上げしてくれます。
| ICF構成要素 | 観察の切り口 |
|---|---|
| 心身機能・身体構造 | バイタル、筋力、認知機能、痛み |
| 活動 | ADL、IADL、移動、コミュニケーション |
| 参加 | レクへの参加意欲、家族との交流 |
| 環境因子 | 住環境、介護用具、家族の支援 |
| 個人因子 | 性格、価値観、生活歴 |
使い方
「食事量が減った」という事実に対して、
- 心身機能: 口内炎・義歯の不具合はないか
- 活動: 自力摂取できているか、姿勢は保てているか
- 環境: 食器や食形態は合っているか
- 個人: 好みの食材が出ていなかったか
と切り分けると、原因の仮説 が立ちやすくなります。
SBAR手法で伝える
医療現場で使われる報告フレームワーク SBAR は、介護現場でも非常に有効です。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| S (Situation) | 状況 — 誰が、今どうなっているか |
| B (Background) | 背景 — 経過・既往歴 |
| A (Assessment) | 評価 — 自分の見立て |
| R (Recommendation) | 提案 — 何をしてほしいか |
SBARを使った申し送り例
S: 〇〇さん、今朝7時に38.2度の発熱がありました。 B: 昨日まで平熱でしたが、2日前から食事摂取量が半分程度に減少していました。 A: 脱水と感染症の可能性が考えられます。 R: 日勤帯での水分摂取量の確認と、看護師さんへの診察依頼をお願いしたいです。
RまでセットにすることでPT/看護師/ケアマネが行動に移しやすく なります。
現場で明日から使えるチェックリスト
申し送り前
- 事実と推測を分けて書けているか
- 数値・時間・回数を入れているか
- 「誰に、何をしてほしいか」が明確か
担当者会議前
- ICFの5つの切り口で整理したか
- 家族の希望や個人因子を盛り込んだか
- 短期目標と長期目標が分けられているか
ヒヤリハット報告
- 発生時刻・場所・関与者を特定
- 事実経過をSBARで
- 再発防止策の提案まで書く
AI時代の情報共有
近年は記録AIの活用も進んでいますが、最後に意味付けをするのは人 です。観察の粒度や解釈の深さは、AIでは代替できません。
自分の観察の質を磨き続けることが、多職種から信頼される介護福祉職への近道です。
まとめ
多職種連携は、お互いの 専門性をリスペクトする姿勢 と、共通言語(ICF・SBAR) があれば、ぐっと質が上がります。
他施設・他職種の連携ノウハウは、現場外ではなかなか触れられない貴重な知見。介護福祉けありんぐ では、同じ課題に取り組む仲間と実践知を交換できます。ぜひ活用してください。