認知症の方への声かけ方 — ユマニチュードに学ぶ基本の4ステップ
執筆: けありんぐ編集部(介護福祉けありんぐ 編集部)
認知症の方への声かけ方 — ユマニチュードに学ぶ基本の4ステップ
「話しかけても反応がない」「ケアを拒否されてしまう」。認知症ケアに携わる多くの方が一度は経験する悩みです。本記事では、フランス発祥のケア技法 ユマニチュード の考え方をベースに、現場で使える声かけの基本をまとめます。
ユマニチュードとは
ユマニチュード(Humanitude)は、「人間らしさを取り戻す」を意味するケア技法です。以下の 4つの柱 で構成されています。
| 柱 | 具体的な行動 |
|---|---|
| 見る | 正面から目線の高さを合わせて、長く・近く・水平に見る |
| 話す | ポジティブな言葉で、穏やかに、ゆっくりと話す |
| 触れる | 広い面積で、ゆっくりと、優しく触れる |
| 立つ | 1日20分以上、立位保持の機会を作る |
基本の4ステップ
1. 出会いの準備
ノックや声かけで「これから訪問しますよ」と伝えます。3回ノックして3秒待つ、反応がなければもう一度、というリズムが推奨されています。
いきなり部屋に入るのは、私たちが自宅で突然知らない人が入ってきたのと同じ感覚。認知症の方にとっては、より大きな驚きになります。
2. ケアの準備(合意形成)
目線を合わせて、名前を呼び、笑顔で挨拶します。この時点で ケアの話を急がない のがポイント。天気の話や「よくお休みになれましたか」など、関係性を作る会話を先に。
3. 知覚の連結
「見る」「話す」「触れる」のうち、常に2つ以上を同時に行う ことでメッセージが伝わりやすくなります。
- 目を見ながら話す
- 手に触れながら話す
- 目を見ながら触れる
4. 感情の固定
ケアが終わったあとに、「ありがとう」「気持ちよかったですね」とポジティブな感情で締めくくります。この 最後の一言 が、次回ケアの導入を楽にしてくれます。
よくある失敗パターンと対処
背後から声をかける
視野に入らない場所から急に声をかけると、驚かせてしまいます。必ず 正面から 近づきましょう。
指示口調になる
「起きてください」「食べてください」は、本人の尊厳を損ないます。「一緒に起きてみませんか」「召し上がれそうですか」と 選択の余地 を残す言葉選びを意識します。
複数の指示を同時に出す
「歯を磨いて、服を着替えて、ご飯を食べましょう」は情報過多。ひとつずつ が原則です。
現場で試すときのチェックリスト
- 声をかける前にノックした
- 正面から目線を合わせた
- 3秒以上の笑顔を見せた
- ケアの前に雑談を入れた
- 触れるときは広い面積でゆっくり
- 最後にポジティブな言葉で締めた
まとめ
ユマニチュードの技法は、一朝一夕に身につくものではありません。しかし、「見る・話す・触れる・立つ」の4つの柱 を意識するだけで、ケアの質は確実に変わります。
あなたの現場での工夫や気づきは、ぜひ 介護福祉けありんぐ のアプリ内で同じ職種の仲間と共有してください。他施設のリアルな実践例が、次のケアのヒントになります。